家や土地を売っていくらの現金になる?
\家にいくらの値がつくかを把握する/
相続が発生したら真っ先にする事は、プラスの財産もマイナスの財産も条件なしにすべて遺産相続する単純承認をするか、一部分だけ相続する限定承認をするか、相続放棄をするかのどれにするかを3か月以内に判断する事です。
通夜・葬儀・納骨が終わって一息つきたいところですが、被相続人が亡くなったその日から数えて3か月以内に判断しないといけません。
なぜなら、相続放棄と限定承認を選ぶ場合は申告が必須だからです!

と思う方も多いのですが、平成27年の相続税改正以降、相続財産に土地や建物が含まれる場合は一般家庭でも相続税の申告や納税が必要になるケースは増えています。
また、小規模宅地等の評価減の特例といって、住んでいた建物の評価を減額して貰える制度があるのですが、この制度を利用するためにも例え相続税が0円であっても申告する必要があります。

自分達の場合は相続税はかかる?かからない?
相続税はかかるのか?かからないのか?
かかるのなら一体いくらかかるのか?
相続をすることになった多くの方がまず最初に気になる事だと思いますが、下記の計算方法で相続税がかかるかどうかを簡易判定できます。
分かりやすいように、下記の家族のケースを例にします。
まず最初に法定相続人の数を把握します。
法定相続人とは、簡単に言うと“相続をする権利のある人”のことで、誰が被相続人(亡くなった方)から相続をすることになるのかを正確に把握するわけです。
この事例では、配偶者、長男、長女、次男の合計4名が法定相続人です。
次に被相続人の財産を把握するのですが、財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
プラスの財産は預貯金、土地、建物、株式、自動車、絵画、骨とう品など、マイナスの財産は借金、家のローンなどです。
大まかな金額で構わないので数字を把握する事が重要です。
- 土地・・・〇〇円
- 建物・・・〇〇円
- 預貯金・・・〇〇円
- 株式、社債など・・・〇〇円
- 自動車、絵画、骨とう品など・・・〇〇円
- 借金や住宅ローンなどの債務・・・〇〇円
相続財産はプラスの財産からマイナスの財産を引いたものですから、相続財産の合計は1+2+3+4+5-6で求められます。
仮に、1+2+3+4+5-6の計算結果を8,400万円としておきましょう。
土地や建物の価格の計算方法についてはページ下部で確認して下さい。
残された人のことを考えて、相続人に相続税がかかりすぎないようにある程度の金額までは相続税がかからない基礎控除というものがあります。
その金額を求める計算式は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算できます。
ですからこの事例のケースでは、基礎控除額は3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円です。
最後に課税遺産総額を計算します。
課税遺産総額とはつまり、相続税がかからない基礎控除分を除いた、相続税がかかってしまうぶんの遺産金額ということです。
課税遺産総額は、相続財産の合計額-基礎控除額で計算できます。
ですからこの事例では、8,400万円-5,400万円=3,000万円です。
つまり、被相続人が残した3,000万円の遺産にたいして相続税をかけられてしまう事が分かります。
家や土地を売っていくらの現金になる?
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配偶者、長男、長女、次男の4人にはそれぞれいくらの相続税がかかる?
では次に、この事例のケースでは配偶者、長男、長女、次男はそれぞれいくらの相続税がかかるかを計算します。
もう一度家系図を紹介します。
被相続人が「次男に財産の全てを残す」と記した遺言を残していたり、法定相続人の4人の間で話し合って変わってくるケースもあるでしょうが、ここではあくまでも「法律にのっとった場合は各々の相続税額はいくら?」という数字を紹介しておきます。
まずこの事例のケースでは、配偶者が遺産の1/2を相続し、残りの1/2を3人の子供で平等に分けることになります。
つまり、
- 配偶者:1/2
- 長男:1/2×1/3=1/6
- 長女:1/2×1/3=1/6
- 次男:1/2×1/3=1/6
という事ですね。

この比率で遺産を相続すると仮定して、それぞれの取得金額は下記のようになります。
- 配偶者:3,000万円×1/2=1,500万円
- 長男:3,000万円×1/6=500万円
- 長女:3,000万円×1/6=500万円
- 次男:3,000万円×1/6=500万円
法定相続分に対する税率と控除額
次に、法定相続分に対する税率と控除額を紹介します。
下記の表をご覧頂ければわかる通り、相続する遺産が多いほど国から多く相続税をかけられるようになっています。
法定相続分に応じた取得額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円~2億円以下 | 40% | 1700万円 |
2億円~3億円以下 | 45% | 2700万円 |
3億円~6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円~ | 55% | 7200万円 |
各相続人の相続税額は取得金額×税率-控除額で計算できます。
ですから、
- 配偶者:1,500万円×15%-50万円=175万円
- 長男:500万円×10%=50万円
- 長女:500万円×10%=50万円
- 次男:500万円×10%=50万円
これが最終的な各々の相続税金額ということになります。
亡くなった被相続者の預貯金は銀行通帳を見れば分かるし、自動車などの資産額もある程度把握できるけど、土地や建物の現在価値を正しく把握するにはどうしたら良いのかが分からない方も多いでしょう。

土地に関しては都市部は路線価方式、田舎は倍率方式と呼ばれる計算方法で評価を算出できますし、建物に関しては固定資産税評価額が適用されます。

しかも、人に貸しているアパート・マンションなどや、門や塀などの付属設備がある建物に関しては評価方法が若干難しくなってきます。
そこで便利なのが不動産価値を無料で査定できるサービスです。
より正確な不動産価値を把握するためには複数社に査定して貰う方が良いのですが、複数社に無料で一括査定できるという事で、下記のイエウールなどは相続をする方の間では人気のサービスです。
相続するのか、相続放棄をするのか決めよう!
イエウールなどで査定をして貰えれば土地・建物の現在価格も正確に把握できるので、相続財産額がこれで無事に把握できます。
そして自分達が実際に支払うべき相続税額が算出できたら、総合的に考えて相続を承認するのか、あるいはマイナスの資産が多い場合は相続放棄をするのかを判断する必要があります。

なお、相続の承認にも2通りあります。
条件をつけずにプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する「単純承認」と、相続する財産の範囲内で被相続人の債務を負うという「限定承認」です。


もしも仮に相続放棄か限定承認を選ぶのであれば、その旨を相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てしなければいけません。
申し立てをせずに先延ばしにしていると単純承認をしたと見なされますし、限定承認にする場合は自分1人の意志だけでは決められないので、法定相続人全員の同意が必須となります。
相続をすることになったら最初にすること まとめ
とにかく、相続をすることになったら3か月という短い期間であれもこれも決めていかないといけませんから、非常にバタバタすることになるでしょう。
故人との別れを偲び、気持ちが塞ぎきっていると3か月なんてすぐに経ってしまうものですし、法定相続人の間で今回の事例のようにはすんなりと意見がまとまらないことも多々あるでしょう。
親族間でいざこざを抱えている間柄では、集まって話をするだけでも大変ですし、仕事を抱えながら相続に関わる人は大きなストレスを抱えてしまうものです。
後になってから後悔しないように、後回しにせず早め早めの行動が必要です。
特に相続財産の中でも最も評価額が大きく、価値の算出に時間がかかる傾向にあるのが土地と建物ですから、相続することが分かったら早めに価値を算出するようにしましょう。